「秋田弁でゲーム実況したらおもしろそうですし、地元のコミュニティーに役立つこともしたい。チームの存在が誰かに価値を与えられるようになれたら。これらの活動で収入が得られるようになれば、メンバーにも報酬として還元したい」(同)
シニアのeスポーツチームということで、「認知症予防のためですか?」と聞かれることも多い。
「メンバーは『ボケる暇がないくらい大変』と言っていますが、こうした効果は副次的なもの。『認知症予防のために』というよりも、本人がゲームに興味があり、楽しいと思えるかが鍵。ゲームを覚えるというはじめの大きなハードルも、楽しければ乗り越えられるはずですから」(同)
昨年7月には神戸市に、60歳以上限定のeスポーツ施設「ISR e‐Sports」が誕生した。入会費は無料で、利用料は1回(2時間)千円。会員は約100人で、8割が女性だ。代表の梨本浩士さんは、人材派遣会社の代表を務めている。
「人材事業だけでなく、社会貢献的なことをしたいと思っていました。高齢者の孤立防止、生きがいやコミュニケーションづくり、介護予防などの諸問題をどうすればいいかと考えていたところ、全てを一手に解決する手段としてeスポーツに思い至りました」
当初は、周囲に相談しても、「シニアにeスポーツなんて無理」「60歳以上なんて年齢制限を設けるべきじゃない」と言われ、オープンしても客がゼロの日が続いた。しかし、シニアに特化したeスポーツ施設ということでメディアにも取り上げられ、少しずつ会員が増えていったという。
利用者は、eスポーツ初心者が大半なため、スタッフが基本的な操作からわかりやすく教える。
「まずは『ゲーム内の空間を自由に歩いてみよう』というところから始めます。やられたって気にしない。まずはゲーム空間を楽しみながら動きを覚え、慣れてきたところでゲームのルールを教えていきます。若者がやっているのと同じゲームを自分もできる、という小さな自信の積み重ねになるんです」(梨本さん)
会員は「フォートナイト」やパズルゲームの「ぷよぷよeスポーツ」など90分ゲームを楽しんだ後は、必ず30分の休息する時間を設ける。