(週刊朝日2021年10月29日号より)
(週刊朝日2021年10月29日号より)

「余裕があればの話ですが、おひとりさまになってみじめな思いをしないためにも、2人のときの生活はできるだけ夫の年金でまかない、自分の年金は温存するようにしてください」

 そのほかの注意点も見ておこう。

 一つは、これからは夫が「長く働く」時代に入るが、夫が65歳を超えると会社で働いても2号被保険者にはなれないことだ。何が問題かと言うと、これだと妻は第3号被保険者になれず、その時点で妻が60歳未満なら第1号被保険者として国民年金の保険料を支払わなければならなくなるのだ。

 冒頭のAさんは、まさにこのケース。夫が65歳のとき、妻はまだ50歳だ。せっかく約39万円の加給年金をもらっても、国民年金保険料(今年度は月1万6610円)で、今年度なら約半分が出ていってしまう。5歳超の年齢差がある夫婦は、こうなる構図を知ったうえで、妻が働いて厚生年金に加入するなどの「防衛策」を考えたほうがいいだろう。

 もう一つ。妻が50代以上なら今年度の「ねんきん定期便」を必ずチェックしてほしい。老齢厚生年金の「見込額」が昨年度より増えている可能性があるからだ。

 かつて大企業を中心に数多く設立されていた厚生年金基金(以下、基金)。基金は国の厚生年金の保険料を代行して運用していたが、昨年度まで入っていなかった、その代行部分の年金額が今年度の定期便から含まれるようになったのだ(本誌21年5月21日号参照)。

 当時の収入状況や加入期間の長短で違うが、10万円以上増えているケースもある。もし昨年度より見込額が増えていて、これまで基金がらみで何の通知も来ていない場合は、「企業年金連合会」へ問い合わせて、自分の基金の記録を確かめよう。60歳以降に受給する場合も連合会へ申請することになるので、あわせて手続きを確認しておけばよい。(本誌・首藤由之)

週刊朝日  2021年10月29日号

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