
これまでは年間130万円以上の収入がないと厚生年金には加入できなかったが、今では従業員501人以上の企業で週20時間以上働けば、月8万8千万円のパートでも加入できる。企業規模のハードルは今後、来年10月からは「101人以上」、2024年10月からは「51人以上」に下がる予定で、今以上に厚生年金に加入できる働き先を見つけやすくなる。
月10万円で10年働けば年6万5千円、20年なら13万円年金が増える。パートでも長く働けば年金を増やせることがわかるが、驚くのは、やはり先述した60歳を超えてからの穴埋めだ。
詳しい説明は省くが、「経過的加算」という年金がもらえるようになるのだ。1カ月働けば約1630円年金を増やせる。1年だと約1万9500円で、ちょうど先に触れた老齢基礎年金の1年分に相当する。これが「40年」に足りない分、37年の人は3年間、38年の人は2年間まで認められるのだ(20歳前の厚生年金加入期間がない場合)。
ただし、妻が厚生年金に加入すると、夫の扶養から外れ自ら税金や社会保険料を支払わなければならなくなる。
◆基礎繰り下げでお一人さま対策
働く場合はもう一つ、加給年金との絡みでも注意しなければならない。実は妻が厚生年金に20年以上加入し、その年金をもらい始めると、加給年金は支給停止になってしまうのだ。先の井戸さんによると、相談者にこの事実を告げると、大半の人が仕事をやめたがるという。
「金額が大きい加給年金に魅力を感じるのでしょうが、そんなに短絡的に考えないで働く期間を管理すればいいのです。極端なことを言えば、『19年11カ月』までなら働いても加給年金に影響は出ません」
なるほど、若いときに働いた分とパート分を足して20年を超えないようにすればいいのだ。なお働く場合は、早いうちから準備したほうがよさそうだ。できれば好きな職種や会社で働きたいもの。気に入る勤め先が、探しだしてすぐに見つかるとは限らない。