近年はFAで大物選手の移籍が少ない。19、20年と2年連続で最優秀防御率のタイトルを獲得し、昨年は自身初の沢村賞に輝いた左腕・大野雄大は昨オフにFAで争奪戦が予想されたが、中日に3年契約で残留。前人未到のトリプルスリーを3度達成したヤクルト・山田哲人も7年契約を結び、「生涯ヤクルト」を決断した。昨オフにFAで他球団に移籍したのはDeNAから巨人に移籍した梶谷隆幸、井納翔一のみだった。

 「各球団がFA補強に消極的なのは、コロナ禍で球団の財政状況が厳しいというのが影響していると思います。ただそれだけではなく、FAで獲得した選手が稼働する確率が低く、チーム強化の観点からプラスアルファが少ないと判断しているケースが多い。実際に巨人が獲得した梶谷は度重なる故障で61試合出場にとどまり、井納に至っては5試合登板で防御率14.40と戦力になっていない。FAで他球団の主力を獲得するより、生え抜きの若手を育てようという考えにシフトしている傾向があるので、今年もFA移籍は少ないのではないでしょうか」(セリーグ球団の編成担当)

 シーズンの戦いは続いているが、梅野は今オフの決断にも注目は集まりそうだ。(牧忠則)

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