ファイザー、ビオンテック、モデルナ、アストラゼネカ……日本で使われている新型コロナワクチンはすべて外国企業が開発したものだ。10月26日時点で日本の人口の70.1%が2回目接種を終える(首相官邸HP)なか、国内企業もワクチンの開発を急いでいる。こうした開発を支えているのが、大学や大学発ベンチャーだ。国産ワクチンの開発にかかわる大学研究者に話を聞いた。
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この1年で一気に知られた「m(メッセンジャー)RNAワクチン」。ウイルスのたんぱく質の設計図となるmRNAを含むワクチンで、これを体内に取り込むことで、ウイルスに対する抗体がつくられるという仕組みになっている。ファイザーとモデルナがつくった新型コロナワクチンが、このmRNAワクチンだ。国内では第一三共(東京)が東京大学医科学研究所(東大医科研)と共同開発しており、来年中の供給開始をめざしている。
だがワクチンにはmRNAワクチン以外にもさまざまな方式がある。KMバイオロジクス(熊本)が開発に取り組むのは新型コロナの「不活化ワクチン」。現在広く接種が行われているインフルエンザやB型肝炎のワクチンはこのタイプで、免疫獲得に必要な成分だけを残しつつ、ウイルスの毒性をなくし(不活化)、注射するものだ。こちらも東大医科研と連携、開発を行っている。同社の永里敏秋社長は25日に会見を開き、来年春から夏までにワクチンの薬事承認を申請し、来年末には供給を開始したいと語っている。
■DNAを取り込むワクチンの治験が始まる
一方、バイオベンチャーのアンジェス(大阪)は、新型コロナの「DNAワクチン」を開発する。複製したウイルスのDNAの一部を体内に取り込み免疫をつくる仕組みで、治験は国内企業のなかでいち早く2020年6月に始まっている。アンジェスは1999年、大阪大学大学院医学系研究科遺伝子治療学の森下竜一助教授(当時)によって設立された。
上記の第一三共、KMバイオロジクス、アンジェスはいずれも、政府がワクチンの早期供給のために費用の補助などを行う「ワクチン生産体制等緊急整備事業」に採択されている。