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(裸の足で)
裸の足で 地面に立つ 地球が 頼りない

空の方が 確かだ 生は 蝶

毛虫の 地に 飽きて

空で 星々に 迷う

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 私たちは地球に住んでいるように見えますが、地球はほんの仮住まいなのです。本当の住処(すみか)は虚空なのです。いずれ地球に飽きて、虚空に帰ってしまいます。そのときは、久しぶりの星々に迷いながら、本来の住処にたどりつくのです。

 谷川さんの詩は虚空を身近に感じさせる力を持っていて、虚空に親しむことができます。

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

週刊朝日  2021年11月5日号

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