さらに、「子供にヘルメットをかぶせていない」と答えた保護者は43パーセントにのぼった。

「周りの子も着けていない」「考えたことがない」「かぶらなくてもケガはしなさそう」などが理由の上位で、どこか人ごとのようにとらえてしまう保護者が多いようだ。同社の広報担当者は「08年の法改正の当時は報道もされ、ヘルメットで頭部を保護する重要性が伝えられました。着用率は上向く傾向にはありますが、まだまだ保護者たちに必要性が浸透していません」と首をかしげる。

 もっと低調な結果が出たこともある。KDDIが2017年に行った調査では、「子どもにかぶらせていない」と答えた大人が74パーセント。大人自身も92パーセントが着用していないという回答だった。

 NPO自転車活用推進研究会の小林成基理事長はこう話す。

「自転車死亡事故の6割は頭部損傷が原因です。ヘルメットの着用で、事故の際の死亡率が大幅に下がるというデータもあり、命を守るためにヘルメットを着用する習慣がもっと普及してほしいですが、まだまだこれからというのが実情です」

 ところで、日本の自転車利用者は、どの程度の人がヘルメットを着けているのか。

 限定的な調査ではあるが、愛好家らで作る「自転車ヘルメット委員会」が2019年、先の自転車活用推進研究会などの後援を受けてヘルメットの着用率について調べたところ(調査対象は月に1日以上自転車に乗る1~89歳の約1万人)、全国平均は11.2パーセントだった。13歳未満は63.1パーセントなのに対し、13歳以上は7.2パーセントと一気に下がった。

 47都道府県の着用率についても地域差が出た。

 1位は愛媛県(29パーセント)だ。サイクリストの聖地とも呼ばれる「しまなみ海道」があり、県全体をサイクリングパラダイスと位置づける。13年に全県民がヘルメットをかぶる努力をするよう規定した条例を導入するなど、マナー向上に取り組んできた。15年には、自転車の高校生の死亡事故をきっかけとして、県立高校生の通学時のヘルメット着用を義務化。「条例の効果に加え、生徒の意見を取り入れてスポーツタイプのヘルメットを無償配布したことで、着用率が大幅にあがった」(前出の小林氏)。見た目への配慮も奏功したようだ。

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