だが、かつてのようにゴールデンタイムの番組でレギュラー司会者、という完全復活を遂げることはできなかった。
2011年、前田さんは突然、体調を崩して亡くなった。享年82歳。
いま、著名な司会者、俳優、ミュージシャンがこのように「バンザイ」を行ったらどうなるか。民放の報道番組プロデューサーはこう話す。
「完全にアウトです。しばらくほされるでしょうが、戻れないかもしれません。いまのほうがテレビ局は政治的発言にはナーバスになっています。マエタケさんのような符号で示したとしてもYouTubeなどSNSで何度も再生され、ネットで袋だたきにあい、むかしに比べるとたいへんな思いをするんじゃないでしょうか。司会進行というのは才能がものをいいます。人材も少ないし、つぶしたくない。わたしならば、しばらくは休んでもらい、そして、時間をおいてから復活させます」
報道番組のゲスト、討論番組のパネラーとして芸能人が政治的立場を訴えるならば、問題はないだろう。だが、番組をコントロールできる司会という立場で、特定の人しか気がつかないとしても支持政党を称賛するのは、「番組の私物化」「中立、公平性が損なわれた」「政治利用だ」という批判を受けるだろう。
一方、この問題とはまったく別に、芸能人の政治に対する発言を聞いてみたい、という思いはある。自民党支持ならばその理由、立憲民主党支援ならばその根拠などを知りたい。そうなれば、ふだん政治に関心がない人たちにとっても、政治がもっと身近になるような気がする。(教育ジャーナリスト・小林哲夫)
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