「日本の芸能界ビジネススキームは、20~30年前のまま。インターネットを中心とした今のシーンの在り方と乖離しているのは由々しき問題だと思います」
その閉鎖感を打破すべく立ち上げたのが、彼自身が代表をつとめるマネージメント・レーベル会社・BMSG。“音楽ファースト”という理念を掲げ、質の高い楽曲制作はもちろん、対等な契約システム、海外進出へのプラン、アーティストのメンタルサポート、ファンとのコミュニティ作りなど、現在のシーンに合った芸能プロダクションだ。その成果は、BE:FIRSTによって証明されつつあると言っていい。「THE FIRST」は情報番組「スッキリ」でも定期的に放送されたが、この企画を持ち込んだのはSKY-HI本人。こんなところにも彼のビジネスセンスの高さが感じられる。
■自身のアーティスト活動も変化の時期に
世界に通用するボーイズグループを目的にしたオーディション「THE FIRST」、“才能を殺さないために。”をスローガンにしたBMSGの設立は、SKY-HI自身の音楽活動にも影響を与えている。最新アルバム「八面六臂」には、女性ラッパーのちゃんみな、ロックバンドTHE ORAL CIGARETTESの山中拓也、THE FIRSTのメンバーらが参加。
その背景にあるのは、彼のなかに生じた“好きな人と好きなことを好きなようにやる”という純粋なモチベーションだ。
「ベストアルバム『SKY-HI’S THE BEST』(2020年9月リリース)を出したときに、過去の作品に対して思うところがあって。自分の活動を続けるため、周囲に認めさせるための思惑みたいなものが楽曲に滲み出ていることに、音楽へのアティチュードを見直したくなったんです。そんな過去に踏ん切りをつけるために作ったのが、これまでの自分を殺すような思いを込めた『Mr.Psycho』という楽曲。その後は、自分が信頼しているアーティストと好きなことだけをやろうと決めました」