日本勢にとって、今大会最も明るいニュースはペアの三浦璃来(19)、木原龍一(29)組が2位に入るという快挙だった。

 スロージャンプや力強いリフト、息の合ったステップやスピンはGPシリーズでも認められた。フリーでは三浦が転倒してリンクの壁に衝突するアクシデントがあったものの、見事に立て直した。日本人同士のペアがGPシリーズの表彰台に上がったのは初めてだ。「りくりゅう」ペアの成長ぶりにより、期待が高まるのは五輪の団体戦だ。

「僕たちが頑張ることでメダルの可能性も広がる」(木原)

三浦璃来・木原龍一(みうら・りく/きはら・りゅういち)/SP、フリーともに3位で合計208.20点の2位。2年前からペアを組み、21年3月の世界選手権10位(c)朝日新聞社
三浦璃来・木原龍一(みうら・りく/きはら・りゅういち)/SP、フリーともに3位で合計208.20点の2位。2年前からペアを組み、21年3月の世界選手権10位(c)朝日新聞社

 女子は平昌五輪代表の坂本花織(21)が4位。宮原知子(23)が7位。4回転やトリプルアクセルを武器にする強力なロシア勢に対抗するには、難度を上げるのか、完成度を磨くのか。五輪で戦うためにはさらなる上積みが必要になりそうだ。

 最後に触れたいのが、会場の雰囲気だ。女子11位の横井ゆは菜(21)は、こう感謝した。

「本当に楽しかった。ミスをしても、拍手でミスをなくしてくれるような温かい会場だった」

 選手たちに寄り添った観客は大会成功の陰の立役者だった。(朝日新聞スポーツ部・岩佐友)

AERA 2021年11月8日号より
AERA 2021年11月8日号より

AERA 2021年11月8日号より抜粋

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