党大会の閉会会議で退席を促される胡錦濤前国家主席
党大会の閉会会議で退席を促される胡錦濤前国家主席

「日本と中国2国間の歩み寄りも大事ですが、日中両国が入っている多国間の枠組みを利用して徐々に関係を改善する方法もあります。例えば、ASEAN+3(東南アジア諸国連合と日中韓)や、今年から始まった東アジアのRCEP(アールセップ・地域的包括的経済連携)など、日中が協力している枠組みはたくさんあります」

 日本は米国と同盟関係にあるが、経済的には中国が最大の貿易パートナーで21年の貿易総額は約38兆円に上る。

「米国はいま専制主義vs.民主主義と言っています。世界が東側と西側に割れた冷戦時代のように二項対立的な構図ばかりが強調されていますが、現実は違う。大多数の国はどちらの陣営にも属していないし、コミットしたくないと考えている。日本はそれらの国々に積極的にアプローチするべき。その時、掲げる旗は『人間の安全保障』です。人の命と暮らし、尊厳を守り、世界の分断を止めることです」(高原氏)

 競争と協力を同時に進めながら平和を保っていけば、現在の厳しい日中・米中関係も局面が変わる時が来るというのだ。(本誌・亀井洋志)

週刊朝日  2022年11月18日号