トゥクタミシェワは、2014年ソチ五輪金メダリストのアデリナ・ソトニコワと同じ世代で、ジュニア時代から切磋琢磨してきた。2015年世界選手権女王でもあるトゥクタミシェワだが、何故か五輪シーズンに調子の波が合わず、ソチ・平昌ともに五輪代表から漏れている。 トゥクタミシェワが“女帝”と呼ばれるのは選手としての息の長さからだが、もし一度でも五輪に出ていたら、彼女は今も現役を続けてくれているのだろうか。23歳にして既に引退したソトニコワ、また多方面で活躍するザギトワの現状を考えると、そんな疑問も浮かんでくる。
北京五輪プレシーズンである昨季、トゥクタミシェワは熾烈な代表選考を勝ち抜き出場した世界選手権で2位になり、6年ぶりに世界選手権の表彰台に立った。メダル獲得を知ってキスアンドクライで涙を流したトゥクタミシェワは、北京五輪への意欲を語っている。
「次の目標は、世界選手権と同じように五輪代表になることです。そのためにできる限りのことをしたいと思います。プレオリンピックシーズンに世界選手権で2位になったことで、モチベーションが上がり、これからも頑張ろうという気持ちになりました」
「フィギュアスケート界の女性たちに、すべてが可能であることを示したいと思っています。24歳で獲得した世界選手権のメダルが、その証です」
若い才能が競い合うロシアで、堂々と戦い続ける“女帝”トゥクタミシェワ。スケートカナダの表彰台で9歳下のワリエワの隣に立ったトゥクタミシェワは、夢の大舞台を目指す。(文・沢田聡子)
●沢田聡子/1972年、埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。シンクロナイズドスイミング、アイスホッケー、フィギュアスケート、ヨガ等を取材して雑誌やウェブに寄稿している。「SATOKO’s arena」