実はその後、私自身がその恩恵を受けることになったのです。私は1995年に体調を崩して自分の病院に入院しました。ひどい咳が出たのです。入院するのは若い頃の盲腸炎以来です。3月の第1週でした。そのときは1週間ほどで回復したのですが、翌年の3月に今度はめまいに襲われたのです。CT検査しても原因不明です。しばらくして治ったのですが、翌年3月になるとまためまいです。さらにその翌年も3月になるとめまいが起きるのです。
ここでヒーリングの登場です。英国訪問で親しくなったヒーラーのジャック・アンジェロ氏が「私が治してあげる」と名乗りを上げたのです。3月になったら1週間、日本時間の夜9時にロンドンからパワーを送るというのです。
私はそう言われたことはすっかり忘れたまま、3月1日はある会合に出ていました。すると、9時を過ぎたころに足の裏が熱くなりだしたのです。最初は床暖房が入ったのかなと思いました。ところが熱さが膝関節までのぼってくるのです。それから1週間、夜9時になると必ず足が熱くなったのです。
信じられないことが起こるものです。そのとき私は、その不思議をそのまま受け止めることにしています。
帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中
※週刊朝日 2021年11月12日号