(週刊朝日2021年11月12日号より)
(週刊朝日2021年11月12日号より)

 名義人が贈与を受けた認識を持っていなかったり、振り込まれたお金を使えない状況にあったら、単なる“自称贈与”。名義預金と認定される可能性が高いので、最低限、書面の契約書を残して相続調査に備えよう。

「まとまった現金がある方ならば、110万円の非課税枠にこだわらず、贈与税を支払うのを前提に数百万円単位の暦年贈与を行うのも手です。10~20%の税率に抑えて、贈与を行っていけば、相続税の節税効果が得られます。高齢の方は一代飛ばしで孫に贈与すれば、亡くなる前の3年以内に相続が発生しても孫は相続対象外なので相続財産に合算されません」(同)

 まとまった額の現金資産があるのなら、不動産を購入して、不動産を贈与するのも常道だ。

「建物の評価額は購入価格や建築費などではなく、固定資産税評価額が基準になります。新築当初の固定資産税評価額が工事金額の50~60%で評価されるように、現金を不動産に替えるだけで評価額を半分程度に引き下げられる。さらに、その不動産が賃貸物件なら借地権と借家権を差し引くことができるので、評価額は7割減に。110万円の非課税枠には収まりませんが、評価額を大幅に下げて資産移転できるうえに、賃貸物件ならば受贈者に家賃収入をもたらすことができる」(曽根氏)

 こうした不動産贈与で頻繁に利用されているのがワンルームマンション。2千万円で購入した物件の評価額は500万~600万円に下がり、70万~90万円(税率20%・30万円控除で計算)の贈与税が発生するが、毎年数十万円の家賃収入が発生することを考えれば、贈与税は知れたもの。

 生前贈与とは異なるが、土地の評価額の割合が高い都心部に不動産を持つ人は、相続時に小規模宅地等の特例が適用できるよう、備えておくほうがいいだろう。

◆締め付け厳しい“タワマン節税”

「小規模宅地等の特例を適用すると、被相続人の居宅を一緒に住んでいた子に相続した場合、土地の330平方メートルまでは相続税評価額が8割減額できます。なお、子が独立して居宅を所有していても、被相続人が賃貸物件の貸地を子に相続し、子が賃貸経営を続ける場合、200平方メートルまでは相続税評価額が5割減額できます。子が独り立ちして、広い自宅を有効活用できなくなったら、住み替えし、自宅を賃貸物件にするといった対策を取ることで、相続時の評価額を大幅に引き下げられます」(河合氏)

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