週刊朝日 2022年11月18日号より
週刊朝日 2022年11月18日号より

「実際に、家を出てから相談に来る人のほうが多い。また夫も、妻が家を出たことで初めて、事の重大さに気づく人が多いのです」(同)

 家を出るに至った妻は、(1)離婚を前提に考えている人、(2)できれば離婚したくないが、夫が変わることを求める人に分かれるという。「(1)と(2)、いずれにしても、きちんと段階を踏んで準備することが大切です」とは、前出の高草木さん。それぞれ妻が取るべき行動を説明しよう。

 まず(1)(2)いずれの場合にも、自分の気持ちをきちんと伝えたかを確認する。いつ、夫のどんな言動で、どんな思いになったのか、具体的に夫に何をしてほしいのか、きちんと言葉にして伝える。反省して変わろうとする人もいるからだ。

「上の年代になるほど、腹を割って話さない夫婦も多く、夫に文句を言ったとしても、大事なことが伝えられていない妻が多い」(高草木さん)

 言葉にして伝えたとしても、夫に変わる気配がなければ、(1)の場合には財産分与や慰謝料などの金銭面で損をしないような対策を練った上で、離婚に向けた準備に入る。

「暴力がある場合には、話し合いをすることもなく、離れることを勧めます。正しい情報と味方の協力を得て、慎重に行動することが大切です」(同)

 (2)の場合には、夫が変わることを期待する以上に、自分が夫の言動で傷つかないための策を用意することが大切だ。自分が夫のどんな言動で傷つくのか、その傾向を洗い出し、一つずつ対策を立てる。DVや夫婦問題などに詳しいカウンセラーの意見を頼ると良い。

 例えば、昨今よく耳にするようになった「モラハラ」。相手を精神的に追い詰める行為を指し、乱暴な言動で妻を責める場合もモラハラに当たる。相手の反応がモラハラを加速させるため、自分の身を守るには“スルー力”を鍛えることが必要だとされる。

「モラハラ気質の人は、相手を困らせたい欲が強く、相手にたたきがいがあるからたたく。だからたたいても反応しないことが効果的です。何か言われても“へえ~”“ふ~”など、必要最低限の返答にとどめる。夫に対し、感情的にならず“流す”。これには訓練が必要ですが、慣れてくるとできるようになる。そのうち夫も、“前と変わってきたな”“離婚されるかもしれない”と不安になって態度を変えてくる人もいます」(同)

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