このドラマに出てくるキャラ、それぞれの面構えが誰も彼も良い。ラーメン屋を経営するイキっていても肝が小さいヤンキーの中尾明慶。その嫁で、こちらは肝がすわった木南晴夏。
指の無いクレイジーヤクザの光石研に、そのまんま半グレが似合いすぎる野村周平。サイハラの部下であるマキタスポーツなんてもう、どこからどう見てもドMですよ。
スロットにはまった、ホストに貢ぐ、推しの地下アイドルのグッズ買いすぎなど(アイドルオタク役の岡崎体育がこれまたドはまり役)、借金の入り口は身近なところにもポッカリと開いている。
うっかりドロ沼に踏み込んだ債務者をカモにする闇金業者もまた、ケツ持ちのヤクザの末端にすぎない。鬼の向こうにまだ鬼がいる。
このシリーズが描くのは終わりなき無間地獄だ。原作漫画ではいかつい男性キャラであるサイハラ(原作では滑皮)だが、むしろ女性にしたことで、たとえ泥水をすすりながらも生き抜くしぶとさが鮮烈に見える。
自動車免許を更新する時に、よく事故映像見せられるでしょ。あれみたいにこのドラマ、パンクした債務者集めてみんなで見るといいと思う。
カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など
※週刊朝日 2022年11月18日号