新庄監督は現役時代から“人と違う”ことをすることが多かった。敬遠球を打ってのサヨナラ安打、オールスターゲームでの本盗、札幌ドームの天井から降りてくるようなド派手なパフォーマンスなど、他人がマネできないようなことをサラッとやってのけた。しかしNPB13年間での通算成績は1411試合出場、1309安打、205本塁打、716打点、73盗塁。ゴールデングラブ賞10回選出の守備力があったとはいえ、突出したものはない。
監督、コーチといった首脳陣には選手をまとめ上げ、同じ方向(=勝利)へ向かわせる能力が求められる。少し前までは現役時代の実績が最も大きな説得力を持っていた。だが今は時代も変わり実績以上に選手を納得させる能力が必要となった。戦術眼、指導力、伝達能力など監督に必要な資質は多岐にわたり、それは現場経験(=学習)によって身につくとされる。
来季から日本ハム以外にも新監督が誕生するが、新庄監督とは違うタイプの経歴の持ち主だ。
「今オフ就任した中日の立浪和義監督は野球センスに優れており現役時代の実績も抜群で解説者歴も長かった。ソフトバンク藤本博史監督はコーチ経験が長く新旧の野球の違いも熟知している。新庄監督は現役引退後、野球界とはまったく違う世界にいたため不確定要素は多い。しかし周囲、特に若者の感性を掴む術に長けている部分は大きなアドバンテージのはず」(元日本ハム担当記者)
自らの肩書きを『BIG BOSS』としたことを筆頭に、新しいことをやろうとしているのが伝わってくる。秋季キャンプに直接足を運び、若手選手たちと積極的にコミュニケーションも図る。SNSなどを通じ選手、ファンにメッセージを送るのも、従来の監督とは異なる。
「昼間のワイドショーでも新庄監督コーナーの視聴率は予想以上に高い。日本ハムとしては中田翔(現巨人)の暴力問題など多くのトラブルを抱えている中だったのでイメージ回復になったはず。しかしここからは監督としての手腕が図られる。ご祝儀的視点はなくなり結果が出なければ辛辣な意見も出る。お手並み拝見ですね。業界的には色々やってくれた方が盛り上がって良いですけどね」(在京テレビ局スポーツ担当)