活動する中で、すべては包括的性教育につながっていることを実感しました。今の学校現場の性教育は「はどめ規定」によって教えられないことがあることが問題ですが、教える先生のリテラシーにバラツキがあることも課題だと感じています。言葉や、態度ひとつで子どもに伝わるメッセージに大きな差が出ます。21年春にスタートした文部科学省などによる「生命(いのち)の安全教育」により、教材がホームページから入手できるようになり、一定の質が担保されたことは一歩前進ですが、性教育をきちんとできる人材の育成は急務でしょう。
性教育は、数学や英語と違って学び直しがききません。困った時には手遅れであるケースが大半です。取り返しのつかないテーマだからこそ、熱意を持って、慎重に丁寧に進めてほしいです。そして、性のことで悩んだ時の相談先として、親や先生、養護教諭に加えて、助産師も選択肢のひとつになれればと考えています。
(編集部・古田真梨子)
※AERA 2023年1月30日号