イラスト/いらすとや
イラスト/いらすとや

「われわれは普段、太陽光や照明の光が反射したものを画像として認識しています。目はもともとの構造上、光っているものを直接見るようにはできていません。スマホやテレビのように自ら光を発しているものや、点滅しているものを見ることが根本的によくない。とくにスマホは近距離で画面を見る。それだけ負担は大きい」

 もともと老眼だった人が、進行を速めるケースもある。平松さんは、スマホの使いすぎが原因の老眼を「スマホ老眼」と呼んでいる。

 では、目や脳、体の不調を防ぐにはどうすればよいか。前出の3氏が口をそろえるのは、使う時間を自分で管理すること。とくに寝る前の使用は禁物だという。眼科医の平松さんは言う。

「寝る前にスマホが発するブルーライトを浴びると、体内時計のリズムが狂い、十分な睡眠が取れなくなります。就寝前の30分間は、歯磨きやストレッチなど、スマホ以外のことをする習慣を身につけましょう」

 目を休ませるには、画面から目を離したり、意識的にまばたきを増やしたり、湿らせた温かいタオルをまぶたにのせて疲れをとったりすることも有効だという。

 脳神経外科医の奥村さんも言う。

「何の目的もなく、惰性でスマホを見るのが一番よくない。情報も『暴飲暴食』をすると脳や心の健康を損なう。何より、スマホを使いすぎて貴重な時間を失うのはもったいない。情報も自分で消化、吸収できる量だけ取るように心がけましょう」

 冒頭の女性は、スマホを使う時間を1日2時間程度に抑えて、散歩や買い物に出かけたり、浅川クリニックで行っている集団療法に参加したりすることで、スマホに依存する生活から抜け出すことができた。

 浅川さんは言う。

「体調不良は加齢のせいではないかと考えて、放っておく人は少なくありません。しかし、長く患うと慢性化し、それだけ治りにくくなる。心配なら、我慢せず気軽に相談してほしい」

 どんなモノでも、メリットとデメリットの両面がある。「たかがスマホ」と思わず、自分なりの使い方を改めて考えてみよう。(本誌・池田正史)

週刊朝日  2021年11月26日号

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