「インクルーシブ」「インクルージョン」という言葉を知っていますか? 障害や多様性を排除するのではなく、「共生していく」という意味です。自身も障害を持つ子どもを持ち、滞在先のハワイでインクルーシブ教育に出会った江利川ちひろさんが、インクルーシブ教育の大切さや日本での課題を伝えます。
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皆さんはいつ頃、料理をはじめましたか? 現在中学2年生の息子は、私が留守の時の昼食などにケトル型のポットを使い、インスタントの味噌汁やスープやラーメンなどを食卓上でひとりで作って食べているようです。息子には自炊できるようになってほしいと願うものの、膝下が不自由な彼には困難なこともあります。
今回はユニバーサルデザイン(文化や性別や能力などに関わらず、できるだけ多くの人が共用できる物や、目標を実現するためのプロセスのこと)の話です。
ひとりでできること
息子が小学6年生の時に、『身近な食材を使った献立』がテーマの調理実習の宿題が出ました。食材は本人の希望でじゃがいもに決まり、ポテトサラダを作ることになりましたが、これだけでは献立にはなりません。
なるべく火と包丁を使わずに、何が作れるだろう?
それまで全く料理の経験がなかった息子でも作りやすいように、まずはキッチンで活躍しそうなものを一緒に探すことから始めました。電子レンジやオーブン、炊飯器、ポットなどの調理家電をフル活用し、包丁の替わりにキッチンバサミやペティナイフを使うことにしました。
家庭科の先生はヘルシーな和食を推奨しているようでしたが、和食は作業工程が多いように思えたため、息子と相談し、【ひとりでできること】に重点を置くことにしました。メニューは、シンガポールチキンライス風の炊き込みご飯、サーモンのオーブン焼き、ポテトサラダ、コンソメスープです。
キッチンバサミで食材カット
息子は、まずは時間がかかるポテトサラダから作りました。椅子に座ってピーラーでじゃがいもとにんじんの皮を剥き、ナイフでにんじんを4つに切ってから、電子レンジで柔らかくなるまで加熱します。あらかじめじゃがいもをよく洗ったので、皮は多少残ってもよいことにし、芽は加熱後に人差し指でくり抜きました。
次にハムときゅうりをキッチンバサミで切り、きゅうりを塩もみします。きゅうりは包丁で切るより太くなりますが、塩で水分が出ると気にならなくなりました。下ごしらえをした材料とコーンの缶詰を合わせ、マヨネーズや塩コショウで味付けをすれば、具だくさんポテトサラダの完成です。