のだ・せいこ/1960年生まれ。自民党衆院議員(岐阜1区)。当選10回。前内閣府特命担当相として「こども家庭庁」の制度設計を担当(photo 写真映像部・戸嶋日菜乃)
のだ・せいこ/1960年生まれ。自民党衆院議員(岐阜1区)。当選10回。前内閣府特命担当相として「こども家庭庁」の制度設計を担当(photo 写真映像部・戸嶋日菜乃)
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 性情報にあふれる現代、正しい性教育は暮らす子どもを守るだけでなく、セクハラや強制性交罪などの抑止も期待できる。だが、多くの学校は学習指導要領の「はどめ規定」のため、積極的な性教育の実施をためらっている。日本の性教育の問題点とその展望について、野田聖子・前内閣府特命担当相に聞いた。AERA 2023年1月30日号の記事を紹介する。

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 児童買春や不妊治療などさまざまなジャンルの議員連盟に入り、多角的な政治活動をしていますが、目の前の問題を解決するために何が必要かを考えた時にゴールが性教育であることがよくあります。性教育が人権教育であるからこそでしょう。この重要なテーマに「はどめ規定」があることは「正直、もう古いよね」と思っています。

 学習指導要領をよく読むと、性行為を取り扱わないとしているだけで、教えることを禁止してはいません。ただ、教科書に明確に書いてあるか否かの差は非常に大きい。私は2015年から「2020パラリンピック東京大会成功作業チーム」を担当しましたが、当時、教科書に多く載っている五輪と、そうでないパラリンピックの認知度の差にがくぜんとしました。性教育は各家庭でもできることですが、教科書にきちんと載せてこそ推進される部分は間違いなくあるでしょう。

 望まない妊娠を避けたり、性被害を減らしたりすることに加えて、深刻な少子化対策としても性教育は有効です。

 私は40歳で結婚し、不妊治療を経験しました。卵子提供によって50歳で出産した時にはバッシングを受けました。後悔はありませんが、50歳で産まざるを得なかった原因は性教育です。結婚するまで生理があれば何歳でも産めると思っていましたから。たとえ国会議員であったとしても、義務教育で学んでいないことは知らないのです。妊娠のプロセスを知らないままキャリアを重ねて高齢出産や不妊で悩まないためにも、知っておいてほしい知識です。

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古田真梨子

古田真梨子

AERA記者。朝日新聞社入社後、福島→横浜→東京社会部→週刊朝日編集部を経て現職。 途中、休職して南インド・ベンガル―ルに渡り、家族とともに3年半を過ごしました。 京都出身。中高保健体育教員免許。2児の子育て中。

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