※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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 下肢静脈瘤は足の静脈の弁が壊れ、血液が逆流して起こる病気だ。40代以降の女性に多く、加齢にともなって増加する。軽いものを入れると推定患者数1千万人以上という報告もある。現在、治療の約90%がカテーテルを使った血管内治療で、多くが日帰り手術となっている。

【データ】下肢静脈瘤、おもな症状や治療法は?

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 下肢静脈瘤は足の静脈の弁が壊れることで血液が逆流し、静脈が瘤のようにふくれたり、足の不快な症状が起こる病気だ。足の伏在静脈という血管に起こるタイプが重症化しやすい。足のだるさやむくみ、湿疹や潰瘍などの皮膚症状がある場合に治療をおこなう。

 ただし、これらの症状は下肢静脈瘤以外の病気でも起こる。お茶の水血管外科クリニック院長の広川雅之医師は話す。

「正確な診断には、超音波(エコー)検査で血液の逆流の有無を確認することが不可欠です」

 治療には「保存的治療」「血管内治療」「ストリッピング手術」「フォーム硬化療法」がある。

 保存的治療では、「医療用弾性ストッキング」を使った圧迫療法が主におこなわれる。足首の部分を最大に、上に行くにつれて、圧が低くなる構造で血液のうっ滞を防ぐ。

 長さや圧迫の強さによってさまざまな種類があり、体格や症状に合わせて最適なものを使う。足の症状が悪化しやすい日中にはく。

 横浜南共済病院心臓血管外科部長の孟真医師は次のように話す。

「着脱にはコツが必要ですが、スタッフが教えます。弾性ストッキングには下肢静脈瘤の症状をやわらげるほか、湿疹や色素沈着、皮膚の潰瘍の改善効果もあります」

 ただし、弾性ストッキングの効果ははいている間だけで、根本的に下肢静脈瘤を治す場合は血管内治療またはストリッピング手術を検討することになる。

 現在、最も多くおこなわれているのは血管内治療だ。

「20年ほど前までは静脈を引き抜く『ストリッピング手術』が標準的治療でした。この手術は全身麻酔下で1週間程度の入院が一般的だったため、躊躇する患者さんが多かったのです」(広川医師)

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