予想通りというべきか、北京五輪シーズンの今季、フィギュアスケート女子シングルではロシア勢が圧倒的な強さを誇っている。
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グランプリシリーズは現在第5戦・フランス杯まで終了しているが、そのうち4大会でロシア勢が優勝した。ただ日本勢も、第4戦・NHK杯で坂本花織が優勝・河辺愛菜が2位、第5戦・フランス杯では樋口新葉が3位と強さを見せている。怪我でグランプリシリーズを欠場している紀平梨花も含め、ロシア女子に食い下がれる存在として日本女子には期待が集まる。
ロシア勢・日本勢以外で今季グランプリシリーズの表彰台に乗っているのは、ユ・ヨン(韓国、スケートアメリカ3位、NHK杯3位)、ルナ・ヘンドリックス(ベルギー、イタリア大会3位、ロシア杯出場予定)の二人だ。
ルナ・ヘンドリックスは2018年平昌五輪16位、2018年世界選手権9位の成績を残しているが、一昨季は怪我のため試合に出場できなかった。精神的にも落ち込んだ時期を乗り越えて昨季復帰し、世界選手権5位と最高のカムバックを果たしている。彼女を支えているのは、男子シングルの選手として活躍していた7歳上の兄、ヨリック・ヘンドリックスだ。ヨリックは2014年ソチ五輪・2018年平昌五輪に出場しており、2019年8月に引退を発表。現役時代は一緒に練習していた妹を、今はコーチとして指導している。
イタリア大会のショートで完璧な演技をしたヘンドリックスは、世界女王アンナ・シェルバコワらロシア勢をかわして首位に立った。そしてミスなく滑り終えたフリーの演技後、キスアンドクライでメダル獲得を知ったヘンドリックスは、兄と抱擁し喜びを分かち合っている。
ヘンドリックスは、ブランクを経て戻った氷上で、滑る喜びが現れたスケートを見せている。トリプルアクセルや4回転といった大技はないが、一つひとつの要素をクリアかつ丁寧に行う演技が印象的だ。22歳で女性的な体型のヘンドリックスは、美しく重みのあるスケーティングで、ロシア勢とは違う個性を発揮している。