このように痛風をネタにする芸人は数多いが、実はこれまでもさまざまな芸人が痛風に悩んでいる。なかでもさまぁ~ずの三村マサカズ(54)は有名だ。10年以上、痛風に悩まされ番組を急きょ休んだり、激痛を押して収録する姿も放送されてきた。ほかにもケンドーコバヤシや陣内智則などが、痛風をネタにしている。
一部では“美食家のぜいたく病”とも呼ばれる痛風だが、なぜ芸人に多いのか。ある若手お笑い芸人はこう説明する。
「芸人はまずお酒を飲む機会が多い。先輩との人脈づくりやスキルアップのために若手の時から芸人同士で飲みに行くのは当たり前。打ち上げの飲み会もライブとセットになっています。売れれば売れるほど、舞台やテレビ出演の機会も増え、必然的に外食や飲み会の回数も増えてきます。結果、舌が肥えた食通になり、さらに暴飲暴食を続けていくことになります。忙しくなればとくに独身芸人の場合、不摂生になりがちです」
■現代版「飲む・打つ・買う」なのか
一方で、お酒以外の原因を指摘する声も。民放バラエティー番組プロデューサーはこう分析する。
「理由は2つあると思います。まず、芸人さんに限らず、テレビマンや放送作家も痛風の人は多い。不摂生や暴飲暴食以外の理由として考えられるのはストレスの影響です。テレビ制作の現場は演者も含め、ものすごく大きなプレッシャーがかかります。また芸人さんの場合、ネタがすべったり、露出が減ると心理的にすごく大きな負荷がかかる。お笑い芸人がこれだけ多い昨今、売れている芸人さんでもなかなかリラックスできる状況にないのです。もうひとつは、昭和の芸人の定番ネタだった『飲む・打つ・買う』の武勇伝が昨今のコンプライアンス強化で使いづらくなったこと。借金取りに追われながらギャンブルする話や、愛人を何人も囲って妻から叱られる、といった話は視聴者からも嫌われます。こうしたなか、自身の不摂生や暴飲暴食による痛風自慢だけは、芸人としての豪快さをアピールでき、かつ笑いにも繋がりやすい」