大きく変化する時代を乗りきるためには、正解主義から修正主義へ移行すべき。そう断言するのは、教育改革実践家の藤原和博さんだ。最新刊『60歳からの教科書――お金・家族・死のルール』(朝日新書)で提唱する、今の社会に必要な「DA・DA・DAの無限サイクル」について、一部抜粋してご紹介する。
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■DA・DA・DAのリズム
皆さんに、60歳からの人生に向けた「エール」を送りたいと思います。 それは「DA・DA・DAのリズム」です。
ビジネスをされてきた方は、「PDCAサイクル」という言葉をご存じのことと思います。「PDCA」とは管理業務を正確にスムーズに進めるための概念で、
Plan=計画
Do=実行
Check=評価
Act=改善
のことを意味します。PDCAの順番にプロジェクトを進めていき、最後まで進んだら、再びPlanに戻る。このサイクルを繰り返すことによって、事業やプロジェクトの精度を高めていく方法です。
このマネジメントサイクルは、仕事を正確に遂行する上では普遍的に通用するやり方だと思います。しかし一方で、社会のスピードが劇的に速くなった現代では、PDCAの4段階を毎回踏んでいては、あっという間に変化に遅れてしまいます。
実行したらすぐに改善し、改善案を実行したらまた即、改善する。「Do・Act Do・Act Do・Act」、つまり「DA・DA・DA」のリズムに変える必要があるのです。
私はこれを、「DA・DA・DAの無限サイクル」と呼んでいます。
何か物事を実行したら、勢いに乗って「DA・DA・DA」と3度修正を試みる。その結果、うまくいかなければ、そのプロジェクトからすぐに手を引けばいいのです。DA・DA・DAのリズムは、物事の見極めをする上でも非常に有効です。
逆に3回修正を繰り返して可能性を感じたら、100回でも1000回でも修正を繰り返します。世界的な自動車メーカーのトヨタ自動車株式会社では、トラブルが起きたときに「なぜ」を5回考えることが企業文化として定着しています。これも「Do」と「Act」、すなわち実行と改善を5回繰り返す修正主義の一つの方法でしょう。