この「必要が生じたときに、必要に応じて」という観点は、不動産の視点に置き換えても応用が効く。例えば「子ども部屋」について。「子どもに個室が必要な期間というのは、意外と短い」とは前出の後藤さんだ。小学校低学年のうちは、個室があっても、家族のいるリビングで宿題をするケースも多いことや、大学入学を機に一人暮らしをする例も少なくない。
仮に小学3年生から高校卒業までが個室が必要な期間とすると、合計10年だ。都心では50~60平米の空間で、家族3~4人が暮らす例も珍しくはない。この10年のために、限られた空間の中で子ども部屋を設けるかどうか悩む人も多いという。これまで6千件を超える不動産取引を行ってきた不動産コンサルタントの後藤一仁さんは次のように言う。
「今はその辺りを合理的に考えて、子どもの勉強部屋用に、自宅近くのアパートの一室を賃貸で借りるケースも見られます。勉強用に借りる部屋ですから、狭くて風呂なしでも十分。また子ども部屋が必要な期間だけ、自宅を定期借家として人に貸して、家賃を元手に家族全員で広めの賃貸住宅に移るというケースも少なくありません」
多くの人にとって、人生で一番高い買い物とも言える住宅購入。想定通りに事が進むことばかりではないのが人生だが、家の選び方や買い方には思わぬ落とし穴もある。後の人生を左右すると言っても過言ではない住宅選びだからこそ、後悔しないためのコツを身につけておきたい。(松岡かすみ)
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