一方、日本はどうでしょうか。幸い、11月27日時点の新規感染者数は120人と、新型コロナウイルスの感染自体はどうも落ち着いているようです。私自身、外来診療でPCR検査を粛々と行っていますが、最近「陽性」を見かけることは滅多にありません。11月25日時点で、2回目のワクチン接種を終えた人口は76.9%に達しています。2回の接種率は主要7カ国(G7)の中で日本が首位になりました。しかし、忘れてはいけないのが、接種開始はG7の中で最も遅く、最も早かった英国と比較すると約2カ月も遅れたと事実です。3回目の追加接種もすでに遅れをとっています。

 すったもんだしたようですが、結局は8カ月以降でないと3回目の追加接種を打てないことが決まってしまいました。医療機関や高齢者施設でクラスターが発生した場合などに、例外的に、2回目の接種から6カ月に前倒しできるとする基準も示されました。クラスターが発生しないようにするために、2回目の接種から時間が経過し、抗体が落ちてしまっている人から3回目の追加接種すべきだと言うのに、クラスターが発生した場合に限って、6カ月に前倒して接種するという基準が、私にはどうも理解できません。

 感染が落ち着いている今こそ、3回目の追加接種を開始するのにベストなタイミングだと思うのは、私だけなのでしょうか。日本国内の感染状況だけでなく、世界の感染拡大も把握しながら、3回目の接種開始を進める必要があるのと、インフルエンザやコロナワクチンを日々接種しながら、私はそう強く感じています。

山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員

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山本佳奈

山本佳奈

山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。医学博士。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。2022年東京大学大学院医学系研究科修了。ナビタスクリニック(立川)内科医、よしのぶクリニック(鹿児島)非常勤医師、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

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