日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「新変異株とワクチン3回目接種」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。
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欧米諸国で再び感染が拡大している新型コロナウイルス感染症。イギリスの保健当局によると、イギリスの新型コロナウイルス感染症の感染者数は11月25日時点で、累計1,002万1,497人になりました。ヨーロッパにおいて、累計の感染者が1,000万人を超えるのは初めてのことだといいます。アメリカは累計4,812万人を超え、11月中の新たな感染者数の7日間平均は7万2,000人から9万6,000人となりました。今年の6月には1日あたりの感染者数が1万人以下まで低下していたものの、再び感染拡大していることを受けて、11月26日、ニューヨーク州では非常事態宣言が再び発令されました。
ここにきて不安なニュースはやはり、11月中旬ごろに見つかった新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」ではないでしょうか。世界保健機関(WHO)は26日、南アフリカなどで新たに見つかった新型コロナウイルスの変異型を最も警戒レベルが高い「懸念される変異型(VOC)」に分類しています。
11月26日に欧州ではベルギーで初の感染者が確認され、すでに欧州に国々やカナダ、そして日本でも感染が確認されました。欧州の多くの国では、アフリカ南部からの渡航制限がすでに始まっています。日本でもアフリカの9カ国を水際対策強化の対象国に追加することを発表し、水際対策の強化が始まりました。30日現在、米国では、まだ「オミクロン株」の流入は確認されていません。しかしながら、米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のファウチ所長は27日、ナショナル・ブロードキャスティング・カンパニー(NBC)の番組で、新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン」が米国に既に流入している可能性はあると述べ、「われわれはまだ検出してはいないが、このウイルスがこれほどの伝染性を示す状況では、オミクロン株はほぼ必ず最終的には全体に広がっていくだろう」との見方を示しています。