「優勝できたことはいい経験になりました。でも演技に関しては、できることでミスしたので根性が足りなかったと思いました。うれしいか悔しいかでいうと、すごい悔しいです」

 GPシリーズ優勝にも「悔しい」と言ってのける。GPファイナルに向け、目標は世界の頂点だ。

佐藤 駿(17)さとう・しゅん/GPシリーズのフランス大会で鍵山に続く2位。2019年のジュニアGPファイナルで優勝
佐藤 駿(17)さとう・しゅん/GPシリーズのフランス大会で鍵山に続く2位。2019年のジュニアGPファイナルで優勝

 一方の佐藤は天才肌タイプ。ジャンプのセンスは日本一といっても過言ではない。フランス大会のフリーでは、日本人で初めて4回転ルッツと4回転フリップの2本を降りた。この2種類を試合に入れられるのは、世界でも米国のネイサン・チェンとヴィンセント・ジョウの2人だけという高難度の技だ。

「ルッツとフリップを試合で揃えられたことがうれしいです。ルッツは2年前から練習して確率も上がってきました。毎日の練習で必ず3本は降りています」

 ところが大技のあと、4回転トーループ2本は着氷が乱れる。その理由に才能を感じさせた。

「当たり前ですがルッツやフリップより4回転トーループのほうが簡単なので、普段ちょっと力を抜いて跳んでいるんです。今回は思い切り身体を締めたら、回りすぎてしまいました」

 4回転トーループは「力を抜く」というのだから驚異的だ。総合264・99点で2位に追い上げ、自己ベスト更新で銀メダルを獲得した。

歴史に名を刻む演技

 このダブル表彰台と同じ週末、国内では全日本ジュニアが、ポーランドではワルシャワ杯が開催され、遥かな地にいる仲間の活躍から刺激を受け合った。

 まず全日本ジュニアでは、16歳の三浦佳生(かお)が躍動した。三浦はジュニア選手ながらNHK杯に推薦出場し8位と健闘。翌週の全日本ジュニアに向け「歴史の中で名を刻むような演技をしたい」と宣言していた。

 ところがショート本番、3回転フリップでミスをした上に、トリプルアクセルは穴を避けてコースを変えると1回転半に。まさかの7位発進となった。「もう歴史に残らないです」と自暴自棄に答えた。

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