今井:頭や体が疲れていたり、弱っていたりすると、どんなにいいものを聞いても感動しませんよね。だから疲れというものが極力ない状態に置く、常に感受性の高い状態に置くというのが重要なのはよく分かります。
渋谷:はい。たとえばピアノの「ラ」の音を押したとき、「この音を初めて聞く」とマインドコントロールしてから曲を作り始めるとうまくできるんですが、それを可能にするのは端的に疲れがない状態です。だからワーカホリックな友人にNMNを薦めると非常に反応が良いです。
今井:ということは、NMNやNADが司る生体への作用が、芸術家の創造性にも影響を与える可能性がありますね。人間の感性を若々しく保つことによって、創造性を高める働きもあるのかもしれないと思いました。
渋谷:はい、それはあると思います。僕は今年、新作のオペラを発表して、来年公開の大きな映画音楽を1本作り、これからドバイ万博で新作のアンドロイド・オペラを発表します。こんな量の仕事はNMNがなかったら難しかったのではと思います。
今井:それはうれしいですね。私たちの研究が創造性の分野にも寄与できるのは、とても励みになります。
(構成/編集部・大川恵実)
※AERA 2021年12月6日号より抜粋