端的に言えば、そうした目的や動機こそが「不正流用」にあたるかどうかを判断する根拠にもなるはずだ。
実態にそぐわず理解もしにくい調査結果や処分理由に行き着く理由があるとすれば、早期収拾を優先させることだ。「不正流用」と素直に認めれば、具体的な流用範囲を特定し、目的外に使われた費用の回収を迫られる可能性もあるが、それでは煩雑な事後処理が発生し、問題の収拾を遅らせるかもしれない。
問題の早期収集や穏便な事後処理のために「理屈」を並べ、実態を直視せずに禍根を残し、結果的に組織改善が犠牲となる。それは郵政グループがかんぽ生命の不正販売を筆頭に、これまで繰り返してきたことだけに、今回も同様の「クセ」が出てしまったのではないか。
朝日新聞の報道では、郵便局のふつうの利用者を標的にして、政治活動の支援者獲得を図る指示が局長会内で出ていたことが近畿、中国、東北の各地で浮かび上がってきている。(参照:朝日新聞)
顧客情報の政治流用まで疑われる事態となっているが、その真相を自ら調べる資格や能力が日本郵便にあるのか。答えはもうはっきりしている。
(朝日新聞経済部 藤田知也)
※郵便局長会に関する情報は、筆者(fujitat2017@gmail.com)へお寄せください。