突然の“オミクロン・ショック”は、国際的な移動を伴う各種スポーツイベントを直撃している。
オランダ遠征を終え1日に帰国した女子サッカー・なでしこジャパンの選手たちは14日間の隔離が必要になるため、4日に予定されていた国内リーグ「WEリーグ」全5試合の延期が決まった。
◆スポーツ界直撃 イベント中止も
バドミントンは19日までスペインで世界選手権が、25日からは東京で全日本総合選手権がある。世界選手権に出場する代表選手たちは、隔離期間があり全日本に出場できなくなる。
「こうした事態ですので、それもしょうがないと考えています」(日本バドミントン協会)
ボクシングでは、29日に埼玉で行われる予定だった村田諒太のミドル級統一戦が来春に延期、31日に東京で予定されていた井岡一翔のスーパーフライ級統一戦は中止と、年末の2大イベントがふいになってしまった。
2月4日に北京冬季五輪開幕を控えるウィンタースポーツも大きな影響を受けている。
フィギュアスケートでは、9日から大阪で開催予定だったグランプリファイナルが中止になった。出場が決まっている外国人選手の入国ができなくなったためだ。また、北京五輪の代表選考会も兼ねた全日本選手権が23日から予定されているが、紀平梨花や高橋大輔・村元哉中ペアら海外に練習拠点を持つ選手たちが帰国後の隔離期間中に練習ができるかも不明のまま。スピードスケートは、選手たちがワールドカップで世界を転戦中だ。3日から米国、10日からはカナダで大会に出場した後、27日から長野市で北京五輪代表選考会があるが、規定どおり14日間の隔離措置が求められれば、選手たちは出場できない。
「現状ではJOCとスポーツ庁の結論待ちで、何も決まっていません」(日本スケート連盟)
12月4日には、北京五輪・パラリンピックを目指す選手たちに対して、厳格な行動管理のもとで隔離期間中の練習を認めるなど、何らかの特例措置を政府が講じる見通しだと報じられた。
こんな状況で北京五輪は開催されるのか。スポーツジャーナリストの谷口源太郎氏はこう話す。
「北京五輪はコロナの感染拡大で早くから海外の観客を入れないと決めている。国外をシャットアウトして、もう五輪の体をなしていないのに、そこまでしてやる意義はあるのかということです。オミクロン株がどこまで感染力があるかはまだわかりませんが、命の問題をないがしろにして、開催すべきではありません」
まだまだ謎も多いオミクロン株。せめて備えだけは万全にしておきたい。(本誌・亀井洋志、鈴木裕也)
※週刊朝日 2021年12月17日号