水際対策などについて会見する岸田文雄首相
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 束の間の落ち着きを見せていたコロナ禍に急展開がやってきた。感染力の強い新たな変異「オミクロン株」が、あっという間に世界を席巻。危機に対して相変わらず“隙だらけ”な対応が続く日本は、この脅威を乗り越えられるのか──。

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 新型コロナの新たな変異株「オミクロン株」の感染が、欧米などで急拡大している。日本でも12月1日に空港検疫で2例目が見つかるなど、感染再拡大の火種になりかねない状況だ。

 警戒すべきは、驚異的な感染力だ。起源とされる南アフリカでは、10月時点ではデルタ株が感染例の92%を占めていたのが、11月に入るとオミクロン株がデルタ株を凌駕し、74%を占めるようになった。WHО(世界保健機関)は早々に、最も警戒するレベル「VOC(懸念すべき変異株)」に指定した。防衛医科大学校感染対策室長の藤倉雄二准教授は「まだデータは少ない」と前置きしたうえで、こう指摘する。

「一時期、ラムダ株やミュー株が南米で発生して騒がれましたが、既存のものと置き換わる力はありませんでした。オミクロン株にはヒトの細胞に取りつきやすくなる『N501Y』や、効率よく感染する機能に影響する『H655Y』『N679K』などの変異が、ウイルスの突起状のスパイク蛋白質にある。これらは世界で猛威を振るうデルタ株にすら入っておらず、より感染力が強くなっている可能性はあります」

 スパイク蛋白質はワクチンのターゲットになるが、デルタ株の変異は10カ所程度だったのに対し、オミクロン株の場合は32カ所にも及ぶ。このため抗体の攻撃を逃れやすくなり、ワクチンの効果低減が懸念される。

 だが、既存のワクチンでも、感染後の重症化を防ぐ効果が期待できるとのデータもある。ファウチ米大統領首席医療顧問は、既存のワクチンが一定程度有効だとして、追加のブースター接種を早期に受けることを推奨。英国政府は、3回目接種について多くの国が「2回目接種から6カ月後」としている間隔を3カ月に短縮すると発表した。

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