10月上旬、首都カブールでは物乞いをする女児の姿がみられた(写真提供/ジェン)
10月上旬、首都カブールでは物乞いをする女児の姿がみられた(写真提供/ジェン)

■地域医療も崩壊の危機

 農村部の医療を支えてきた世界銀行の資金がストップしたため、地域医療も崩壊する危機に瀕している。人びとは現金がないため処方薬も満足に買えない。医師から出された処方箋を薬局に持っていくと、まず聞かれるのが「現金を持っているか」。2週間分の薬を処方されても、1週間分のお金しかなければ売ってもらえないこともあるという。

「8月以降、新型コロナウイルスを気にする余裕もないのが現実ですが、11月中旬ごろから新型コロナの感染が再び拡大しているようです。発熱や体の痛み、頭痛などを訴える声が増えています。コロナ以外にも、干ばつで空気中に土ぼこりが舞っていることや、暖をとるために木材だけでなく古タイヤも燃やしていることも、体調不良に影響していると思われます」

 ジェンでは食料のほか、子どもたちたちの就学や学校建設などの支援活動も行っている。就学支援では、地域の「シュラ」という自治組織や若者たちで構成される「ユースシュラ」、宗教指導者と連携して就学を促進し、鉛筆、ノート、ルービックキューブ、定規セットなどが入った就学キットを配っている。学校建設では校舎、トイレ、太陽光パネルで発電した電気を使って井戸から水をくみ上げる貯水槽などを備えた学校建設などを進める。

「子どもが就学できない理由はたくさんあります。貧困で子どもを学校に行かせる余裕のない家庭が多いこと、学校の建物自体がないこと、女子用トイレが整備されていないこと、学校までの距離が遠いことなどです。特に教員の数が圧倒的に足りません。ある学校では1人の教員が2クラス160人の生徒を教えている学校もあるほどです」

 ムハンマドさんたちはユースシュラの人たちと協議し、地域社会が教員の給料を支払う形で3人、さらにボランティア教員6人を雇用することができたという。

 厳しい冬を迎えているアフガニスタン。ムハンマドさんは国際社会、特に日本からの支援に期待していると話す。

「アフガニスタンにとって日本は友好国です。一般の国民も日本にとてもいい印象を持ち、国連などを通じた日本の支援に感謝しています。国連だけでなくNGOなどを通じた支援もぜひお願いしたいと考えています」

(西島博之)

※JENのアフガニスタン緊急食料支援のクラウドファンディング(2021年12月17日まで)のURLは下記の通り。問い合わせはJEN(https://www.jen-npo.org/)まで。
https://readyfor.jp/projects/jen_af

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