「家財道具を売るための即席の市場ができて、それがどんどん大きくなっていきました。多くの人がここで食料を買うお金を得るために家財道具を売っているのです。道路には物乞いをする子どもの姿もありました」
■「ほとんどの家庭がパンとお茶だけ」
タリバンによる政権掌握後、アフガニスタン中央銀行の米国内資産が凍結されるなどの経済制裁によって経済が停滞。海外からの送金も途絶えた。ムハンマドさんによると、資金不足で国内42のダム建設プロジェクトがすべて止まり、企業、銀行、大学などの規模縮小も相次いでいる。
それに伴い、失業率が増加。さらに深刻な干ばつが追い打ちをかけ、食料などの物価は高騰している。国民は食料を買うお金を得るため、生活に必要な家財まで売る事態に陥っているのだという。
「8月中旬以降、食料価格は高騰しています。例えば、小麦1袋の値段は1500アフガニ(約1760円)から2500アフガニ(約2925円)に高騰しました。私たちが支援活動をしている地域の家庭を訪問して、食事の様子を見せてもらいましたが、ほとんどの家庭がパンとお茶だけの食生活でした。なかには、ふだん食べないような草をとってきて火を通して食べていた家庭もありました。農村部には家畜を飼って生活している人もいますが、干ばつで家畜が食べる草もなくなってしまい、家畜を手放さざるを得ない人たちも増えてきました。これまで1頭8万アフガニ(約9万3600円)で売れていたものが5万アフガニ(約5万8500円)でしか売れなくなってしまいました」(ムハンマドさん、以下同)
ムハンマドさんによると、10人を超える家族の備蓄食料がわずかな量の乾燥トマト、小麦粉、塩、豆類だけというところも珍しくないという。
500万人の子どもが「栄養失調に陥っている」(国連)といわれるが、ジェンが進める食料支援のプロジェクトは、授乳中の母親をサポートするための栄養補助食タイプのビスケットや粉ミルクなども含む。