8月中旬、イスラム主義勢力タリバンが権力を掌握したアフガニスタン。長引く干ばつに海外からの経済制裁などが加わり、国民は深刻な食料危機に見舞われている。いま、現地の事情はどうなっているのか。緊急食料支援を行うための資金を募るクラウドファンディングを立ち上げた国際NGO「ジェン」(JEN、本部・東京都港区)の現地事務所長が、アフガニスタンの国民が直面している窮状を、オンライン取材で語った。
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「国連世界食糧計画(WFP)のリポートによれば、アフガニスタン全34県のうち13県が、食料不安の度合いを示す5段階のうち3番目に厳しい『危機』の状況にあり、21県がさらに厳しい4番目の『緊急事態』のフェーズにあります。私たちが主に活動しているナンガルハル県はもともと農業県なのですが、干ばつなどによって作物の収穫量が昨年より急減し、11月には『緊急事態』となりました。このままタイムリーな支援がないと最悪の『大惨事』のフェーズに入ってしまうおそれがあります」
アフガニスタン東部、パキスタンと国境を接するナンガルハル県で活動するジェン現地事務所長のムハンマドさん(仮名)はこう語る。
WFPは10月25日、「アフガニスタンでは11月以降、人口の半分以上にあたる2280万人以上が深刻な食料不安に陥るおそれがあり、そのうち870万人が飢餓に直面する」という報告書を発表。「世界最悪の人道危機の一つに陥っている」と警鐘を鳴らした。
ジェンは、2001年からアフガニスタンで学校建設や水衛生環境の改善などの支援活動を実施してきた。タリバン政権掌握後の現在も、28人の現地スタッフがナンガルハル県を中心に支援活動を続けている。11月16日には約480世帯(約3360人)の人びとに2カ月分の食料を届けるため、目標額1000万円のクラウドファンディングを立ち上げた。
ムハンマドさんは11月末、首都カブールを訪問したときの驚きをこう話す。