ほかにも、尿路に細菌感染症があると尿が白濁するという。膀胱炎や尿道炎、腎盂腎炎などの可能性があると成田さんは注意を促す。
尿のニオイも重要なサインになる。そう林さんが教えてくれた。
「尿路に細菌感染症がある場合、ツンとするアンモニア臭がすることがある。これは細菌が尿素をアンモニアに分解しているから。糖尿病の患者さんの尿からは甘いニオイがします。それから、がんがある場合の尿も玉ねぎや肉が腐ったニオイがすると言われています」
さらに、尿がビールのように泡立つようなら尿にたんぱく質が多く含まれ、腎炎などの病気の可能性があるという。
ただ、異常な尿が出てもすべてが病気のサインというわけではない。
「先日、赤い尿が出たと訴える患者さんがいました。検査しても問題はなく、詳しく問診したら、真っ赤な野菜『ビーツ』の食べすぎだった。食べたものの色素が尿に出ることは珍しくありません。理由がわかって患者さんは安心して帰宅したそうです」(成田さん)
とはいえ、いつもと違う尿が出たら早めにかかりつけ医に相談したほうがいい。成田さんは、チェックの範囲を自分以外に広げてもいいとアドバイスする。
「赤ちゃんや介護中の高齢者など、おむつを使っている家族の体調もおしっこでチェックできます。汚いからと目をつぶって片づけてしまう前に、おむつに残る尿の色をチェックする習慣をつけてほしいです」
(本誌・鈴木裕也)
※週刊朝日 2022年11月11日号