またなのか、とため息をつきたい人も多いのではないか。新型コロナウイルスの感染者数が下げ止まり、「第8波」が訪れる可能性が高いという。しかも、今年はインフルエンザとの同時流行の可能性も。「二重苦」の冬に、どう備えるべきなのか。
* * *
長く苦しい新型コロナウイルスとの闘いは、まだ終わらないのだろうか。
多くの死者を出した「第7波」のピークを越え、8月半ばから下がり続けてきた全国の新規陽性者数は、10月に入ったあたりから下げ止まり、26日には約1カ月ぶりに5万人を超えるなど、わずかながら増加に転じる気配も見せている。振り返れば、コロナ禍が始まった2020年以来、毎年、冬にかけて感染者数が増える傾向にあった。10月20日に開かれた厚生労働省の専門家組織の会合では、「第8波の流行が起こる可能性は非常に高い」という専門家有志による予測が示された。
北里大学の中山哲夫・特任教授(臨床ウイルス学)はこう語る。
「新型コロナはワクチンを接種していても数カ月経つと免疫が落ちてきますし、これからの季節は忘年会や新年会、家族や親戚の集まりなども増えてきます。第8波が来る可能性は高いと思います。年末から1月にかけて、人の動きが激しくなる時期に、新たなピークが来るのではないか」
とはいえ、コロナ禍初期に比べるとワクチンの接種も進み、ウイルスも変異を重ねた結果、毒性が弱まってきていることもまた確かだ。海外では「ケルベロス」や「グリフォン」といった、強力なモンスターのような名前がつけられた変異株の出現が報じられていて心配にもなるが、神戸大学病院感染症内科の岩田健太郎教授はこう語る。
「新しい変異株がたくさん出現してきていますが、みなオミクロン株に属するものです。劇的に変化したものや、極端に違うものではないので、根本的な感染の仕方が変わるとは思いません」
一方で、今年は多くの専門家が指摘する新たな懸念材料がある。例年、冬に流行してきた季節性インフルエンザとの同時流行である。政府も新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行対策タスクフォースを立ち上げるなど、警戒感を強めている。