元記者が無実だと信じたというなら、代議士という立場上、それがはっきりとわかるまで黙っているべきだった。けど、そういう適切な態度は取れなかった。なにしろ、権力者の寵愛でここまでのしてきたという背景があるからだ。彼女の力の源泉は、権力者の寵愛。それを失っては彼女は成り立たない。
私は今回の判決で、そのことについて杉田氏自身に考えて欲しいのだ。ほんとうにそれでいいのかと。
杉田氏は数少ない女性の議員だ。ほぼ男ばかりのヒエラルキーの中、突如、組み込まれた女性である自分の役割がそれでいいのか。そこを考えれば、今回、伊藤さんが追い込まれた苦境もわかるはず。というか、杉田氏自身が組織の怖さをわかっての行動じゃなかったのか。
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中
※週刊朝日 2022年11月11日号