三菱電機の女性社員が、長年にわたって数々のハラスメントに苦しめられ、退職の危機にさらされている。女性は初めて単独でAERA dot.の取材に応じた。同僚からの性的嫌がらせ、上司の暴言に始まり、独居房のような小部屋に閉じ込められて3度病院に搬送されたこともあった。最後は、上司から離席時間を分単位でチェックされ、懲戒処分の理由にされたという。女性が語った15年以上にも及ぶハラスメントの実態とは――。
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女性の手元には「懲戒処分通知書」と書かれた一枚の紙がある。2017年12月1日付で、女性が勤務する三菱電機の社判が押されている。
内容は、女性が上長の承認なしに15分以上の職場離脱を幾度となく行い、注意された後も同様の行為を繰り返したとして「1日の出勤停止」にするとの懲戒処分だった。
「会社は私の離席時間を分単位でチェックしていました。そして他の女性従業員4人と比較するデータを持ち出してきて、『君は離席時間が長い』として懲戒処分を言い渡されたのです。トイレの出入りが映っている防犯カメラのデータまで見られていたようです。ついにここまでするようになったのか……と絶望的な気持ちになりました」(女性、以下同)
一般的に考えれば、15分超の離席を繰り返したというだけで出勤停止にするのはやりすぎのように思える。なぜ、三菱電機は女性にここまで厳しい処分を下したのか。その背景には、職場内でのハラスメントをめぐり、女性が三菱電機側と対峙してきた積み重ねがあった。
発端は約20年前までさかのぼる。 三菱電機に正社員として入社した女性は、コンピューター製造部に配属され、社会人としてスタートを切った。だが2001年7月の分社化により部内全員が三菱電機インフォメーションテクノロジー(MDIT)への出向を命じられた。すると、派遣社員の女性から「性教育」を口実にからかわれ始めたという。
「派遣社員の女性が自身の性体験を自慢げに語ったり、私の体験を聞いてきたりしていました。出向先の総務に、仕事中の性的な発言をやめさせてほしいと相談したんですが、これがきっかけで、私に対する嫌がらせが始まりました」