女性と会社側にはこうした経緯があり、冒頭に記したように17年12月の懲戒処分につながっていく。
会社は女性が15分以上の職場離脱行為をしたとして、出勤停止1日の懲戒処分を下した。人事課は、その根拠として、他の女性従業員と離席時間を比較したデータを提示してきた。人事課はデータの出所を明らかにしなかったというが、女性は「廊下にあるカメラのデータではないか」と思ったという。
なぜなら、女性が働いていた建物3階には階段付近にカメラが設置されていたものの、向きは階段の方ではなく、女性従業員が使うトイレの方を向いて映していたからだという。離席時間の比較として出されたのも女性ばかりだったことも疑念を深めた。
「トイレの出入りをカメラで確認され、その時間をチェックされていたと思うとぞっとします」
データには同じ階の女性従業員が何時から何時まで離席していたかが分単位で記録されていた。同データに女性は含まれず、人事課から別途作成されたデータを提示され、「君の(データ)は離席が多いだろう」「他の女性はこんなに短い」と指摘された。
「他の女性は、データが取られていることすら知らないと思います。カメラは『防犯目的』としているようですが、私が労基署と一緒に立ち会った際には、1階や他のフロアの同じ場所には防犯カメラはないことを確認しています。防犯なら1階の玄関にあってもいいのに不自然です」
これらの女性の主張に対して、三菱電機広報部は「女性の懲戒処分の内容はコメントを控える」とした上でこう回答した。
「ご本人の度重なる職場離脱に対し、上司より何度も注意を行うも改善が見られなかったことから、実態調査の一環として居室入退室の記録データを確認したことがある。その際には防犯カメラの映像についても入退室記録と突き合わせる形で確認した。(他の従業員との比較データに関しては)防犯カメラではなく入退室記録データを基に離席状況をサンプルとして提示したもの。トイレの出入りを含め、防犯カメラから得た情報を比較したものではない」