立憲民主党の泉健太代表
立憲民主党の泉健太代表
この記事の写真をすべて見る

 臨時国会が閉会される。様々な論評がなされているが、今回は、一つだけ、私の印象に残ったことを紹介したい。それは、立憲民主党の泉健太・新代表が、国民に明るい雰囲気を印象付けることに成功したのではないかということだ。

 この論戦を見ながら私はある言葉を思い出していた。

「ビールを一番おいしそうに飲み干せる爽やかな候補を選びます」

 10月末の衆議院選挙後、地方の小選挙区で立候補し、無名ながら善戦空しく落選した立憲民主党新人候補が、同党の代表選で逢坂誠二、泉健太、小川淳也、西村智奈美の4候補から誰を選ぶかについて語った話だ。何故、政党の代表戦とビールの飲み方が関係するのか。

「古賀さん、選挙を戦ってわかったんです。政策なんか関係ありませんでした!すべては、政党、党代表、テレビに映る幹部のイメージです。それが悪かったら、政策がどんなに良くても、話も聞いてもらえない。聞いてくれるのは元々のコアな支持者だけ。そこから広がらないんです」と、この候補者は悔しがった。

 この話を聞くと、ただの負け惜しみだと思うかもしれない。しかし、少なくとも、これまでかなりの数の野党候補の応援に携わった私から見て、この候補者は、むしろ、他候補に比べて、非常に魅力的で、能力も高いという印象だった。

「初めてビールを買うとき、味は解説されてもわかりませんよね。多くの人は、CMで美味しそうにビールを飲むキャラクターのイメージで買っているんじゃないですか。選挙もそれと同じ。イメージキャラの印象が悪ければ、現場でどんなに頑張っても、新人候補では票を獲れないと思います」と言う。

 確かに、有権者の選挙の投票行動は、消費者の自動車の購買行動と似ているという政治学者もいる。最近は、投票行動の分析に、マーケティング理論で使われてきた「コンジョイント分析」という手法を応用する研究も盛んだというから、この候補者の分析は的を射ているのだ。

次のページ
白いネコでも黒いネコでも…