■歯止めとならなくなる
浜佳葉子・都教育長は12月8日の都議会での答弁において、こう発言している。
「音読の問題は中学校で学ぶ単語(may・have・seen)を用い、場面に応じて英語として自然となるよう文を作成し、出題したものでありまして、学習指導要領を逸脱しているとの指摘はあたりません」
それに対し、久保野氏は語気を強める。
「高校で学習する文法を使わなくても、既習の文法を用いていくらでも自然な言い方にできます。例えばDo you know~?を使えばいい」
もし、この事態を文科省が看過すれば、学習指導要領は高校入試出題範囲の歯止めとならなくなる。どんなに難解な文法であっても、中学校で習う単語を使えばいいからだ。学習指導要領の逸脱が受験生や中学校に与える影響は甚大だ。受験勉強の範囲が定まらなくなるからだ。ちなみに都教委が6月に示した実施要項には出題範囲は「中学校学習指導要領に基づく内容とする」と明記されている。(ライター・黒坂真由子)
※AERA 2023年1月30日号より抜粋