イラスト/もりいくすお
イラスト/もりいくすお

「寝床」では、とうとうが喋ってしまった。義太夫を語りたい大家さんが猫に語りかける。「お前はどうだ? 聴きたくないか? 私のぎだ……」「シャーッ!」。顔面を引っ掻かれ「あいつを三味線屋に売り飛ばせっ!」。言われる猫。みんなに拒絶され泣きじゃくり、店子・奉公人の面会を拒む大家に対して「ヤッパリ、ダンナノ、ギダユウガ、キキタイニャ~」とおべっかを使う猫。旦那はご機嫌で義太夫を語りはじめ、皆から「お前やりすぎだ」と言われる猫。名前はミケだ。そりゃあ、猫ならタマorミケさ。

 そういえば「代脈」「ろくろ首」「幇間腹」「火事息子」にも出てくるな、猫。落語はもう週刊朝日なんか目じゃないくらい動物に頼っている。その気になれば他のネタにもいくらでも出せそうだ。こういうのは開き直り。ですかね? 編集長!?

 ライネンモ、ネコデ、カキタイニャ~。

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/1978年、千葉県生まれ。落語家。2001年、日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。新刊書籍『人生のBGMはラジオがちょうどいい』(双葉社)が発売。ぜひご一読を!

週刊朝日  2021年12月31日号

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