
今年も「NHK紅白歌合戦」が近づいてきた。出場歌手にはそれなりの顔ぶれがそろっているが、物足りなさもある。たとえば、不幸が似合う激情型の「歌姫」タイプが不在なことだ。
【写真】生放送の「ミュージックステーション」から“逃亡”した歌姫はこの人
半世紀前には、ちあきなおみや藤圭子が連続出場。華やかな舞台に暗い光を投げかけ、異彩を放っていた。1977年にはちあきがアングラフォークの流れをくむ「夜へ急ぐ人」を熱唱。場内が騒然としたため、司会の山川静夫アナが「なんとも気持ちの悪い歌ですねぇ」とコメントして空気をなごませたものだ。
2014年に中森明菜が復活出場した際も、海外からの出演という状況もあいまって、独特の存在感が話題になった。
最近の歌手でいえば、大森靖子あたりが出場すれば面白いかもしれない。ただ、トラブルも多い人なので、生番組では扱いにくいだろう。嵐の二宮和也が大ファンなことでも知られ「日本一暗い歌手」と呼ばれる柴田淳も、可能性のある時期を逸してしまった印象だ。
そんなことを考えてしまうのは、先月末、鬼束ちひろが逮捕されたからでもある。都内の路上で救急車を蹴ったことによる器物損壊の現行犯だ。なんでも、一緒にパチンコをしていた友人女性が倒れ、救急車を呼んだところ、通行人に嫌みを言われ、そこから救急車への攻撃(?)に及んだという。
ここ数年は活動が縮小気味だったとはいえ「月光」(2000年)という人気曲も持つ鬼束。懐メロ志向の強い近年の「紅白」になら唐突な初出場もありそうだっただけに、これでいよいよ遠のいた感じだ。
とはいえ、彼女は生番組で扱いにくい歌手の筆頭だろう。「月光」がヒットした翌年には「ミュージックステーション」(テレビ朝日系)での発言で、所属事務所が謝罪した。ペットのハムスターを夏は熱射病で亡くし、冬は凍死させてしまったという流れのあと、今はメダカを飼っているとして、
「水槽掃除をするたんびに、減っていくんですよ(苦笑)」
と語ったのが、動物虐待ではと騒がれたのだ。