2021年も『週刊文春』によって多くの有名人の不倫が暴かれたが、4人組エアバンド「ゴールデンボンバー(金爆)」も“餌食”となった。まず9月に鬼龍院翔が一般女性と電撃結婚した直後に、10年以上も同時並行していた別の“恋人”の存在が発覚。11月には歌広場淳が20代女性と不倫関係になった揚げ句、妊娠発覚後に中絶をさせていたと報じられた。さらに歌広場には浮気相手が他に6人いることも明らかになり、「活動自粛」に追い込まれた。
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世論が不倫に厳しくなったとはいえ、派手なメークを施し、“モテる”ことで熱狂的な女性ファンを獲得してきた「V系バンド」までが告発の対象となり活動自粛にまで至るとは、一昔前は誰も想像できなかっただろう。モテることが“正義”とされてきた「V系」にも清廉さが求められる風潮をどのように捉えればいいのか。「V系」を奥深くまで知り尽くす音楽ライターの市川哲史氏に寄稿してもらった。
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「今回の金爆自爆事件みたいなことが起きると、V系(ヴィジュアル系)バンドの戦略のみならず、立ち位置そのものが変更を余儀なくされるのではないか」と、編集氏から真面目に聞かれてしまった。自爆事件とは例の、文春砲で撃墜された鬼龍院翔と歌広場淳の連続スキャンダルのことのようだ。「V系未曽有の危機」と危惧する彼がふびんなので、右を踏んでも左を踏んでもハラスメント地雷が破裂する御時世に気を遣いながら、おそるおそる書く。
あくまでも一応、だけど。
バンド・ブームの古(いにしえ)より、バンドとファンもしくは一般女子との接触は活発だった。どのバンドも「女遊びも芸の肥やし」なんて言い訳以前の、単なる盛りがついた猫たちに変わりはない。だって皆、異性にモテたくて楽器を覚えるところから始まっているのだから。まず。
しかも当時のロックのプロモーション手段といえば、音楽専門誌とAMラジオの全国地方局とツアー。TVには全く相手にしてもらえなかったので、客が入ろうと入るまいと、CDが売れてようがなかろうが全国のライブハウスやホールをこまめに回り、「実際に観せるのがいちばん」と信じて実行されていた。すると地方地方を謳歌(おうか)する者も当然、少なくなかったりする。