ねえ?

 さて鬼龍院と歌広場の場合も決して恵まれた容姿ではないので、実はV系そもそもの伝統に乗っ取り、初のモテ期におもいきり飲み込まれた末の失態なのは、一目瞭然だ。ただし、好き過ぎて徹底的に<ネタ>化したらすっかり梗塞状態だったV系そのものを意外にもよみがえらせちゃった金爆が、結果的にV系の根本原理を踏んでたというのはなかなか可笑しい。

 とはいえ、結婚にあたり10年交際してきた女子を捨てた(らしい)鬼龍院にせよ、六股不倫のあげく中絶を強要した(らしい)歌広場にせよ、金爆にとっては相当の致命傷だ。特に後者は、川谷絵音からゲス不倫世界ヘビー級王者の座を秒殺で奪取したわけだし。

 正直個人的には、その子細の真偽に関してはどうでもいいけれど、これが金爆じゃなかったらまだマシだった気はする。

 “女々しくて”“水商売をやめてくれないか”“君のスカートが短くて”“また君に番号を聞けなかった”“愛してると言えなくて”“死んだ妻に似ている”“元カレ殺ス”“タツオ…嫁を俺にくれ”“ウジ虫”“もうバンドマンに恋なんてしない”などなど。

 楽曲のタイトルを並べただけで、<相手の同情を買うしかない、不器用だけど超純粋なオタク>的な、ふびんでいたいけなモラトリアム集団という金爆不動の立ち位置があからさまだ。そんな「私がわかってあげなきゃ誰が救ってあげられるの?」的なファンの慈愛を、鬼龍院と歌広場は<たかが金爆の分際>で踏みにじったわけで、彼女たちの裏切られ感はハンパない。まさかの「飼い金爆に手を噛まれた」思い。ネット上で「駄目男だからこそあの歌詞に共感できたのに、実は女子を平気で傷つける勘違い野郎だったとは、もう世界観を共有できない」との声が大半を占めたのは当然で、金爆にとってかなり深刻だ。

 しかも、存在抹消も覚悟すべき歌広場はともかく、鬼龍院の後対応がさらなる炎上を巻き起こす。自らのニコ生枠で罰ゲームと称し、くさやの干物やわさび寿司や納豆を食べる<謝罪>動画を配信したものの、人びとの神経を逆なでしただけに終わったのだ。

暮らしとモノ班 for promotion
2024年の『このミス』大賞作品は?あの映像化人気シリーズも受賞作品って知ってた?
次のページ
鬼龍院が初めて喫した敗北