特例によりBTSメンバーに兵役の「代替服務」が認められれば、一定期間の軍事訓練を受けた後、活動が可能になるため、その賛否をめぐって韓国の世論は割れていた。ARMYの中でも「兵役へ行くのもやむを得ない」という声が少なくなかった。韓国国内では兵役に行かない人に向けられる視線が厳しく、「行って堂々と活動してほしい」という思いからだ。ARMYで、新聞記者の韓国人女性は「個人的にはみんな兵役の義務を果たすべきと考えている」と話していた。
9月の世論調査の結果では6割近くがBTSへの兵役特例適用に賛成したが、「兵役問題を世論調査で決めるのか」という批判が上がり、韓国国防部は改めて「BTSの兵役問題に関して公平性の観点から代替服務制度の拡大は難しい」という立場を表明した。
国会議員の中には「7人の若者を兵役に行かせて国家の利益になるのか、あるいは彼らが世界で活動するのが国家のイメージを高めるのか、国家の指導者たちは判断すべきだ」と、再考を求める意見も出ていたが、所属事務所が入隊を発表した。
今後、7人全員がそろう活動再開の時期について、所属レーベル(BIGHIT MUSIC)とメンバーは、「2025年あたりには7人でのグループ活動を再開することを希望しているが、現時点では正確な時期を特定することは難しい」と説明している。
■長期的な活動を示唆
一方、15日のコンサートではメンバーからは兵役に関する言及はなく、J-HOPE(28)はエンディングでこう言った。
「未来について語りたい。信頼が必要な時期だと思う。メンバーもARMYのみんなも一つになった信頼で未来を描くべき時期ではないか」
さらにSUGA(29)は、「20年、30年はこの場に立っていると思う」と話し、JIMINも「30年、40年は行こう」と、長期的な活動を示唆した。
“完全体”のBTSはしばらく見られないが、ARMYたちにとっては、メンバーが一体となって長く活動を続けてくれるのだと、未来への希望を感じるコンサートになったようだ。(ライター・成川彩(ソウル))
※AERA 2022年10月31日号