「毎日が綱渡りで冷や冷やです」(同)
女性の母親(67)は管理栄養士で、今でいう「ワーママ」だった。当時は育休などの制度がまだ不十分だった時代。女性は生後2カ月から保育園に通った。ルンバや全自動洗濯機など便利な家電も、ウーバーなどの宅配サービスもない中、必死で仕事と家事、育児をしている母の姿を見て育った。父(70)は勤務先の管理職登用試験を受け、それなりに昇進して退職したが、母は最後まで「イチ栄養士」だったという。女性は嘆く。
「育休をたっぷり取って子どもとの時間を確保しつつも、キャリアを積むことができる時代になったと思っていたのに、なぜ私ばかり負担が大きいのでしょうか。これでは両親の世代と同じ。家の中や社会のあちこちに『妻側が家事育児をやって当然』との価値観があることがつらい」
(編集部・古田真梨子)
※AERA 2022年10月31日号