だが、この期待は大きく裏切られた。
新内閣の中に旧統一教会と明らかに関わりのある閣僚が7人もいて、副大臣や政務官の中には二十数人も入っていたのである。
これでは、わざわざ国民の不満をあおるような人事である。
現に、マスメディアの世論調査で、岸田内閣の支持率は大下落し、毎日新聞では29%、時事通信では27%と、30%を割ってしまった。
通常ならば、当然政権交代である。だが、日本では野党が弱すぎて、政権交代できる野党がいない。
こうなると絶望的だが、やっと岸田首相が決意を固めたのか、17日の衆院予算委員会で、旧統一教会に対して、宗教法人法に基づく報告徴収・質問権を行使すると表明した。
私は、実はそれ以前に岸田首相に面会して、「第三者委員会を作るなど抜本的対策を取るべきだ」と進言していたので、この発言でほっとした。
この質問権を厳しく行使していけば、法人格をはく奪する解散命令の請求まで行き着くはずである。
自民党内からそれを阻害するさまざまな動きが出てくるだろうが、本当に岸田首相には死に物狂いで頑張ってもらいたい。
田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数
※週刊朝日 2022年11月4日号